【発起人1人から?】フィリピンでの法人設立手順と注意点

【発起人1人から?】フィリピンでの法人設立手順と注意点

近年の経済成長率が6~7%と高い水準を維持している国、フィリピン。労働力も豊富なため、さまざまな日系企業が注目をしています。フィリピン市場は人件費の安さが大きな魅力ですが、法人を設立するための手続きは比較的煩雑です。

今回は法人設立するに当たっての手順や、企業するに当たっての利点などを解説していきます。

※2019年に入り、法人設立制度にも動きが出てきました。(記事後半で解説)

 

フィリピンの会社形態

全部で8つの会社の形態がありますが、実際に日本企業が進出する形態としては、「現地法人」「支店」「駐在員事務所」の3つになります。

1つずつ、特徴を見て行きましょう。

 

現地法人

現地法人とは、フィリピン国内に会社の本店を設置する形態のことです。現地法人にはいくつかの種類が存在します。日本人が会社を作る場合は「国内市場向け企業」、もしくは「輸出型企業」のどちらかになるのが一般的です。

国内市場向け企業とは、「フィリピン国内での売上が、会社の売上60%未満を占める企業」を指します。外資規制の対象となるので、経営の自由度は下がります。

一方の輸出型企業とは、「フィリピン国外での売上が、会社の売上60%以上を占める企業」を指します。ほとんどの業種で外資資本を100%とする会社を設立することができるため、経営の自由度は高まります。

払込資本金の最低額

  • 国内市場向け企業が20万ドル
  • 輸出型企業が5,000ペソとなっています。

 

支店

会社の本店を日本に、そして支店をフィリピン国内に置くスタイルです。現地法人とほぼ同じ活動を行うことが可能です。しかし日本企業の支店になるため、法的な責任や債務も日本の本店に帰属します。

外資規制が適用される業種の場合、先端技術を利用するなどの要件を満たさなければ事業展開が許可されません。現地法人と比較すると、経営の自由度は下がります。

払込資本金の最低額

20万ドル

 

駐在員事務所

駐在員事務所の場合、所得を得る行為を行うことができません。事務所の賃貸契約や従業員の雇用契約を結ぶことは可能ですが、売買契約を結ぶことは禁止されています。駐在員事務所には、「国内の市場調査」「日本で製造した製品のPR」「国内の情報収集」などが認められています。また日本の法的責任が適用されます。

払込資本金の最低額

3万ドル

 

フィリピンで法人設立するための手順

法人を設立する際の具体的な手順を説明します。

 

1. 外資規制の内容をチェック

外資規制(ネガティブリスト)があります。業種によって、「100%外資資本で営業可能」や「60%以上は、必ずフィリピン資本であること」など条件が異なります。外資規制の対象となるかどうかによって、進出する業種の選択や準備が変わってきます。必ず進出する前に確認をしておいてください。

こちらのページで外資規制の対象リストをチェックできます(JETRO日本貿易振興機構)。

 

2. 会社形態の決定

現地法人と支店、駐在員事務所の中から会社形態を決めます。一般的に本格的な企業を考えているのであれば、現地法人になります。

 

3. 希望する会社名を予約

フィリピンでは日本と違って、同じ会社名を付けることができません。またとても安い価格で、これから起業しようとする会社名を予約することが可能です。そのため、実際に使用できる会社名が見つからないことも少なくありません。ですので、SEC公式サイトで事前に使用可能かチェックをし、可能であればそのままオンラインで申請してしまいましょう。

希望する会社名の確認と予約は、証券取引委員会(SEC)でも行うことができます。会社名の予約が終了すると、「社名確認書」が発行されます。有効期限は90日です。この間に会社設立の手続きを行う必要があります。

 

4. 会社の住所を決めオフィスを仮契約

定款には登記住所の記載が必要です。住所の決定には時間がかかるので、早い段階から準備をしておきましょう。住所を探すためには一般的に、「不動産業者で事務所を探す」「住所貸しのレンタルサービスを利用する」などの方法があります。

初めから本格的にオフィスを設置したい場合は、不動産業者を通して探します。また、ひとまずの間レンタルオフィスや、住所貸しサービスを利用する企業も少なくありません。いずれの契約も、仮契約まで済ませましょう。本契約は会社設立完了後に行えば、問題ありません。

また発行される賃貸契約書は、会社設立後の手続きや銀行口座開設などで必要になる場合があります。写しを取っておくことをオススメします。

 

5. 発起人の決定

現地法人を設立するに当たって、発起人が必要です。発起人については細かくルールが定められています。主には、「発起人は最低でも5名以上(改正される可能性あり:詳細は後述)」「自然人であること(法人は不可)」「半数以上は、フィリピン在住者であること」「全ての発起人が、1株以上を保有していること」などです。

外資規制の対象でなければ株の保有割合については、発起人全員が1株以上保有すること以外に制約はありません。実際のケースとしては、法人を設立する当事者1名がほとんどの株を保有します。そして、発起人が残りの1株ずつをそれぞれで保有することが多いようです。外資規制対象の場合、日本人が保有できる株の割合が制限されることがあります。この場合は現地のフィリピン人が発起人となり、制限された分の株を保有してもらうケースも見受けられます。しかし会社を乗っ取られるリスクも生じるため、注意が必要です。

 

6. 定款の作成し必要書類を準備する

証券取引委員会に定款を提出します。定款には、「会社名」「会社住所」「事業目的」「資本金額」「発起人情報」「取締役」「財務役」を記載する必要があります。

取締役を発起人にするケースが一般的です。また財務役は取締役と兼任することができます。会社設立後は「会社秘書役」を選任する必要がありますが、会社秘書役も取締役と兼任可能です。

証券取引委員会が定款の様式、「エクスプレスレーンフォーム」を準備しています。

また定款以外に、「社名確認書」「送金証明書(預金証明書)」「付属定款」の書類が必要です。

これらは会社設立代行業者にお願いすると、対応してくれます。

 

7. 銀行で専用口座を開設し、資本金を払い込む

法人設立前は、資本金払込専用の口座(TITF)を使用する必要があります。口座を開設するに当たって、銀行窓口で代表取締役と財務役両人の署名が必要です。必要書類もあるため、会社設立代行業者にお願いをすると簡単です。

口座が開設されたら、定款に記載した額の資本金を払い込みます。

 

8. 証券取引委員会に会社設立の申請をする

今までに準備した各種書類を、証券取引委員会の担当弁護士にチェックしてもらいます。不備がなければ、設立費用を支払って完了です。約2週間で承認されます。承認されると、会社登録証書を受け取ることができます。

 

9. 法人口座を開設する

銀行で法人口座開設の手続きをします。財務役と一緒に会社登録証書を持参して、口座を開設してください。TITF口座は閉鎖されるため、払い込んだ資本金を全て法人口座に移します。

 

10. 地方自治体とバランガイで手続きをする

バランガイとは、日本でいうところの町内会のようなものです。外国企業は全て、地方自治体とバランガイに許可を申請する必要があります。必要書類はエリアごとに異なりますが一般的には、「オフィス賃貸契約書」「会社登録証書」「定款・付属定款」などです。

申請には手数料がかかります。自治体から受けとった許可証は、毎年更新する必要があります。

 

11. 税金の手続きをする

内国歳入局の所轄税務局で、税金に関する手続きをおこないます。「納税者識別番号」「印紙税の発行」「納税者登録」の3つです。

 

フィリピンでの会社設立にかかる期間と費用

法人設立まで、「短くて1か月半」「長くて2か月半」の期間が必要です。

会社名を予約してから90日以内で手続きを完了させる必要があるので、事前に計画を立てておくことが大切です。

 

フィリピンで法人設立する利点とは?

法人を設立するに当たっての利点を解説します。主に以下の5つです。

 

若い労働力の豊富さ

フィリピンの平均年齢は25歳。人口はすでに1億人を突破しており、若い労働力がたくさん存在しています。

 

人口が激増する人口ボーナス期

2045年にフィリピンの人口が激増する、人口ボーナス期が来ると予想されています。人口が激増すると消費需要や内需も増えるため、大きなビジネスチャンスが期待できるでしょう。

 

高くないサービスレベル

フィリピンのサービスレベルは、日本などの先進国のサービスと比べると高くはありません。日本ではサービスレベルが高くない商品でも、フィリピンでは十分なレベルで高需要な場合があります。

 

親日家の多さ

フィリピン人は一般的に親日家が多いです。日本企業や日本製と聞くだけで信用され、好印象を持たれることも少なくありません。

 

経済特区の利用

最大のメリットと言えるのが、経済特区の利用です。フィリピンには経済特区庁が管理している経済特区「PEZA」があります。

外国企業に対して、「100%外資での起業許可」「4~8年間、法人所得税免税」「外国人労働者の雇用」「機械設備やスペアパーツ、原材料の輸入関税免除」「人材育成費用の税金免除」などの優遇処置をしています。

 

最新情報(2019年2月)

2019年2月20日付けのニュースで、フィリピンのドゥテルテ大統領が、法人設立にかかわる法律変更にサインをしたと報じられました(CNN Philippines)。

変更点は主に下記の通り。

 

  • 最低払込資本金の減額
  • 発起人は1人でも可能(フィリピン国籍)
  • 株主総会はオンラインで実施可能

 

今回の改正案では外国人規制についての詳細な発表はありませんでしたが、何かしら影響は出てくるものと思われます。

最新の情報についてはこちらのページで随時アップデートしていきます。(ブックマーク推奨)

 

まとめ

フィリピンで法人を設立するためには会社形態を選択し、煩雑な手続きを取る必要があります。業種によっては外資規制を受ける場合もありますが、設立には利点もあります。スムーズに設立させるために専門家にも相談しつつ、事前計画や準備を念入りに行いましょう。

 

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